暴力団排除条例 警察は住民期待に応えよ
警察庁の安藤隆春長官が「日本の暴力団追放の成否がかかっている」とまで語った、福岡県の「暴力団排除条例」が今月から施行された。
暴力団組員に利益供与した事業者側にも罰則を科すなど全国初の条例だが、これに合わせるように、暴力団追放の先頭に立つ住民運動のリーダー宅や地元企業への暴力団による発砲事件が続発している。関連記事
記事本文の続き 九州ではここ数年、暴力団同士の抗争事件が目立っていた。しかし、今回は一般の住民を直接狙ったものであり、きわめて深刻な事態だ。こうした卑劣な犯行は絶対に許してはならない。危機感を抱いた警察庁は、安藤長官自らが現地を視察し、徹底捜査と暴力団の取り締まり強化を指示した。当然のことだ。警察は今回の発砲事件を暴力団壊滅への好機ととらえ、捜査に全力を傾けてもらいたい。
福岡県では暴力団によるとみられる発砲事件が平成20年まで5年連続全国最多だった。指定暴力団も5団体と、全国で一番多い。
暴力団による事件は後を絶たず、福岡県が全国に先駆けて、暴力団を街から一掃する厳しい内容の条例を定めたのも、こうした住民の不安が背景にある。
しかし、これに反発する暴力団は先月15日、暴力団追放運動を展開する北九州市小倉南区の自治会長宅に銃弾を撃ち込んでいる。同29日には、暴力団排除に熱心に取り組む北九州市長あての脅迫状も届けられた。
今月に入っても、嫌がらせは続いており、福岡市内の西部ガス関連ビルと同社役員の親族宅に相次いで銃弾が撃ち込まれている。
警察は一連の事件について、同社が計画する液化天然ガス基地建設に絡み、北九州市を拠点とする指定暴力団工藤会による組織的な犯行とみている。
警察庁では福岡県の条例は、暴力団の資金源を絶ち、組織に打撃を与えるものと評価し、全国自治体への広がりを期待している。
発砲事件の捜査は「まさに天王山の戦い」(安藤長官)であり、警察は、盛り上がった住民運動が脅迫を恐れて萎縮(いしゅく)することがないよう事件の全容を解明し、容疑者を逮捕することで暴力団の壊滅につなげなければならない。
暴力団の追放、解散は警察だけではできない。自治体、住民、業界も一体となって取り組み、安全・安心な社会を築きたい
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