2010年12月8日水曜日

ウィキリークス「情報テロ」は民主主義を破壊する

誇り高き日本の回復を目指して駆け回る政治家、中田宏氏が今の日本について語る「週刊・中田宏」。「今週の政治を斬る」では、内部告発サイト「ウィキリークス」による米政府の機密情報暴露について聞いた。中田氏は「偽情報を信じ込ませたり、非公開情報を暴露する『情報テロ』は非常に危険。私も事実無根の女性スキャンダルという『情報テロ』に遭い、市政改革を妨害された」と話した。
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記事本文の続き 「浪人日誌」では、1週間の主な活動3つを選んで紹介。衆院選に初当選した年に始まり今年で18年目を迎えた、中華料理の調理師会との忘年会に参加したことなどを取り上げた。
 ■今週の政治を斬る
 【自らも「愛人情報テロ」の被害に】
 民間の内部告発ウェブサイト「ウィキリークス」は28日、独自に入手した米政府の機密情報を含む外交公電約25万点の一部の公開を始めた。米韓両国の南北統一後についての協議や北朝鮮とイランの軍事協力、中国政府が米インターネット検索大手グループへのハッカー攻撃を指示していたことなどが含まれており、オバマ政権の外交政策に深刻な影響を与える可能性が出ている。
 外交公電のほとんどは、過去3年間に国務省と約270の在外公館の間で交わされたもの。米大使館員らと駐在国の閣僚や政府高官の会話が中心で、1万点以上が機密扱いになっている。
 中田氏は「一見して生々しい情報は面白いが、果たしてどこまで信じてよいのか。すべてが真実である保証はないし、逆に、すべてが嘘であるとも言えない」と疑問を投げかける。
 ウィキリークスの創設者、ジュリアン・アサーンジ氏の口癖は「完全な透明性」。しかし、非公開が大前提の外交公電だけに、各国の大使館員らが伝達してきた内容は率直で、その赤裸々な表現だけでも外交問題に発展しかねない危うさがある。
  「民主主義の前提として、個々人が適切な判断をするために必要な情報は公開されるべき。しかし、公開を前提にしていない文書まで、『透明性』の名の下に、 暴露されてしまう状況では、文書として残すことに萎縮(いしゅく)する機関が増えて、必要な文書すら何も残らない状態になってしまう。政治判断にかかわっ た人たちの『頭の中』だけにしか情報が残らないのは、極めて危険な状況といえる」と中田氏は警鐘を鳴らす。
 透明性を追い求めるウィキリー クスとアサーンジ氏の行為には世界中で賛否両論が巻き起こっているが、「これは国際社会に対する『情報テロ』としてとらえるべきだ」と中田氏は分析する。 「偽の情報や、公開を予定していない情報をもとに、戦争が起きる可能性も十分ある。歴史的経緯などが原因で、元から関係が悪い国も世界には多い。公開すべ きではない情報の暴露を発端に、取り返しのつかない事態に発展する危険は大きい」と語気を強める。
 「実際に私も、混乱を生み出し、権力から引きずり降ろすためだけに行われた情報テロを、身をもって体験している」と中田氏は強調する。
 「『中田横浜市長の愛人だった』とする女性の、全くの嘘の主張で、名誉が損なわれ、市政改革を妨害された。裁判で事実無根であると訴えて、全面勝訴したが、時間と労力を費やし、社会にとっての損失は大きい」と振り返る。
 また、中田氏は「私も横浜市長時代に、インターネットでの市長会見中継を始めた。記者会見のように外部に対して発表することについては、多くの人がアクセスしやすいように、公開を進めるべきだろう」と、自らも情報公開を進めてきたことについて触れた。
  その一方で、「そうは言っても、何でもかんでも公開するというのでは、巨大なゴミ箱をぶちまけるようなもの。かえって必要な情報を見つけ出すのが難しく なってしまい、民主主義にとってマイナスになる部分が大きい」と指摘。「インターネットの普及で、かつてとは比べものにならないほど、世の中に流通する情 報量が増えている。多種多様な情報の真偽を見分けることが、現代に生きる誰にとっても、今まで以上に重要といえる」と話した。
 【名古屋市議会リコール失敗、全体見えぬ議員との対決続く】
 名古屋市議会解散の直接請求(リコール)をめぐり、名古屋市の河村たかし市長は11月26日、リコールの署名が法定数を下回った責任を取り、年内に辞職する考えを表明した。河村氏は民主党などで衆院議員を5期務め、昨年4月の市長選で初当選。市議会に市民税減税恒久化などを阻まれたとしてリコールを主導したが、支援団体が提出した署名は、市選管は有効数が法定数に約1万2千人分届かなかったと判定した。
 中田氏は「ほとんどの地方議会では、議員は個々の関心事と予算要求ばかりを主張していて、全体に対する責任が意識されていない。リコールは失敗に終わったが、行政改革のため、議会と正面衝突したのは、勇気ある行動だ」と評した。
 中田氏は「横浜市長時代に、私も議会の嫌がらせや足を引っ張る行為に閉口したが、『これも議案を通すためだ』と自分に言い聞かせて、何とか我慢した。心ある首長は抜本的な議会改革が必要だと思っているはずで、河村氏の気持ちは理解できる」と振り返る。
  市長の支援団体が提出した署名は46万5602人分で、そのうち有権者以外による署名や不適切な収集方法などにより11万1811人分が無効となった。署 名の審査期限は当初10月24日だったが、市選管は有効性に疑いのある署名を再調査するため期間を1カ月延長していた。また、市選管は名簿提出後に「氏名 や住所に一部でも誤りがある署名は無効」とする厳格な基準を示した。支援団体は、無効票が増えた原因と指摘している。
 中田氏は「明らかにおかしい。提出後に基準を厳しくしたのは、河村市長が言う通り、後出しじゃんけんだ」と断言。「選挙の場合を考えても、私に票を投じたい人が『中田』を、誤って『仲田』と書いても、基本的には有効票になる。ここまで基準を厳しくするのは、リコールを不成立にしたいからに他ならない。こんなことをやって、恥ずかしくないのだろうか」と厳しく批判した。
 河村氏は「リコールがダメならばけじめをつけるつもりだった。もう一回市長をやってもいいか民意に問いたい」と述べ、出直し市長選に再出馬する考えだ。
 中田氏は「河村氏が再選されて、再び市長になっても、議会との対立の状況が大きく変わるわけではない。ただ、河村氏が議会と正面からぶつかったことは、議員定数の削減など議会のあり方について、市民が考えるきっかけになったのではないか」と話した。
 ■浪人日誌
 【大阪で若者集めてトークイベント】
 11月28日(日) 社会や政治を分かりやすく語る若者向けイベントとして支援者らが開催している「ザ中田宏アワー」。今回は大阪市で開かれた同イベントに出演。長年、暴力団問題に取り組んできた松本藤一弁護士をゲストに迎え、暴力団の現状などについて意見を交換した。河村たかし名古屋市長も電話で参加し、集まった聴衆は大満足した様子だった。
 【中華料理の調理師会と忘年会】
 11月29日(月) 中国料 理日本調理師会の約300人の調理師と横浜市内で忘年会。衆院選に初当選した平成5年に始まり、今年で18回目を迎えた。飲食店は12月がかき入れ時のた め、毎年11月に忘年会を開いている。中田氏は「ずっと変わらない良い関係を、今年も確かめられて、うれしかった」と話した。
 【初当選した山野之義金沢市長と会食】
  12月2日(木) 11月28日投開票の金沢市長選で、日本創新党の単独推薦を受けて当選した山野之義氏と会食。投票率が3割台と低い中で、6選を目指し た現職に勝ったことを喜び合う。中田氏は「今の時代に金沢がどうあるべきかという、時代認識を持って、市政全般に取り組んでいくことが大切」と山野氏と話 し合った。
 《中田宏プロフィル》
 昭和39年9月20日生まれ。横浜市出身。青山学院大学経済学部卒業後に松下政経塾に入塾した。平成5年の衆院選で初当選。14年には37歳で横浜市長に初当選した。18年に再選。ごみの排出量削減や職員定数削減などを行った。21年同8月に市庁を辞任。22年4月、日本創新党を設立し、代表幹事に就任した。

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