2010年12月12日日曜日

暴力団の勢力は、全国で平成21年12月末現在

暴力団の勢力は、全国で平成21年12月末現在約80,900人といわれています。これは、平成20年12月末に比べ、約2パーセント、1,700人の減少となっています。
この数には、暴力団の構成員のみならず、暴力団と関係を持ちながら、その組織の威力を背景として暴力的不法行為を行う者や、暴力団に資金提供するなどして協力する者など、いわゆる準構成員といわれる者も含まれています。
暴力団の構成員だけですと、約38,600人といわれています。平成21年中に約1,800人減少した計算になります。
これら暴力団は、組織の威力を増大して資金の獲得を容易にするため、中小暴力団が、山口組、稲川会、住吉会等の大規模暴力団に系列化され、大規模暴力団による寡占化が一段と進んでいるといわれています。
なお、これら3団体の現有勢力は次表の通りで合計58,600人で全暴力団勢力の72.4パーセントを占めていますが、中でも山口組の構成員等は前年に 比べ減少しているものの、全暴力団構成員等の半数近くを占め、依然として山口組への一極集中の状態が顕著になっています。
島根県下の暴力団の勢力は3団体約190人といわれていますが、そのほとんどが山口組系列に入っているようです。
主要3団体の暴力団構成員
団体名/区分 21年末 前年比 全体の構成比
山口組 構成員 19,000 -1,200 45.0%
準構成員 17,400 -400
36,400 -1,600
住吉会 構成員 6,100 0 15.8%
準構成員 6,700 +100
12,800 +100
稲川会 構成員 4,700 -100 11.6%
準構成員 4,700 +200
9,400 +100
三団体合計 構成員 29,800 -1,300 72.4%
準構成員 28,800 -100
58,600 -1,400

これら主要団体の最近の動向について見てみますと、山口組は、平成17年3月27日に六代目山口組長を襲名した司忍こと篠田建市が、同年12月5日に収 監されてから約3年が経過したわけでありますが、対内的には、山口組組織のナンバー2である若頭、高山清司(愛知、弘道会会長)の出身母体である弘道会が 山口組を事実上支配し、よって同若頭高山清司の独裁体制が進行し、同人の指導の下、傘下組織の首領の代替わり(若返り)を図る等、組織の統制力をますます 強固なものとし、対外的には、他団体に対する勢力の誇示を依然としてあからさまに行うなどの行動がみられるようであります。
その主なものとして平成20年1月、山口組総本部事務所において、六代目組長の誕生祝を兼ねた新年会を開催し、いわゆる「親戚団体」である指定暴力団五 代目共政会等全国8つの指定暴力団等の代表者等の参加を操る等、全国にその勢力を誇示しています。、又、平成19年2月、東京都内において、住吉会傘下組 織幹部が射殺されたことに端を発し、住吉会傘下組織幹部による山口組傘下組織の元組事務所に対するけん銃発砲を伴う報復事件が発生、続く3月には、宮城県 内において、みかじめ料をめぐるトラブルを発端に、山口組傘下組織組員に対する刃物使用殺人未遂事件や住吉会傘下組織組員に対するけん銃使用殺人未遂事件 が発生、更に、平成20年3月から4月にかけて、埼玉県内において、山口組傘下組織関係者が刺殺されたことを発端に、住吉会組織幹部に対するけん銃使用の 殺人事件が発生するなど、住吉会との対立抗争事件が続発しています。
一方では、平成19年3月、三代目侠道会会長と六代目山口組執行部メンバーが擬制血縁関係を結び、また、9月には、松葉会との間で親戚縁組食事会を行う とともに、二代目親和会会長と擬制血縁関係を結んだことにより、三代目侠道会、松葉会、二代目親和会が、六代目山口組のいわゆる「親戚団体」となるなどの 動向が見られています。
住吉会は、山口組に次ぐ勢力を誇示していますが、住吉会は、特に関東を中心に強固な地盤を持ち、東京都内に進出した山口組傘下組織との間の、利権をめぐ るトラブルが懸念されている中で、前記のような山口組傘下組織との対立抗争事件が発生する等、関東進出が進む山口組とは、依然として緊張状態が続いており ます。
又、住吉会は、関東の博徒系暴力団と親睦会を結成し、関東の他の暴力団とは比較的良好な関係にありますが、平成21年7月、神奈川県内において稲川会傘 下組織の暴力団員らが、住吉会傘下組織の暴力団員に暴行を加えたことに端を発し、けん銃発砲等により双方各1名が死亡する対立抗争事件が発生したこと、及 び、住吉以外の団体は、平成19年9月までに、山口組との親戚縁組を行うなどの関係を強めたことから、これらの団体及び山口組との関係を含めた、今後の動 向が注視される状況にあります。
稲川会は、平成18年7月19日、稲川会四代目会長に角田吉男が就任してから、二次組織総長の交代等による内部体制の強化を図ったほか、平成19年5月 には、催事施設を主要幹部らの活動地域である神奈川県内に建設するなど、新体制下での活動を活性化させていましたが、平成21年2月23日四代目会長の角 田吉男が死去したため、辛炳圭が五代目会長に就任し、その後見人として、六代目山口組組長篠田建市が就くなど山口組との関係を一層深めている状況にありま す。
一方、中国地方の情勢としては、平成21年10月20日、山口県下関市に本部を置く六代目合田一家が、七代目組長金教煥に代替わりし、六代目山口組若頭 高山清司が後見人に就いています。このように、中国地方の他の団体は、ことごとく六代目山口組の影響下にあるといわれています。
主要3団体の最近の動向は以上の通りですが、近年、暴力団は、当局による取締りや、社会の暴排運動の昂まりを回避することなどを意図し、組織実態を隠ぺ いする動きを強めるとともに、活動形態においても、企業活動を装ったり、政治活動や社会運動を標ぼうするなど、一層不透明化が進んでいるといわれており、 暴力団の正確な実態把握も困難化してきています。
(1)刑法犯、特別法犯検挙人員の推移 (人)
区分/年次 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21
暴力団勢力・暴力団検挙
人員総数
32,511 31,054 30,917 30,824 30,550 29,325 29,626 28,416 27,166 26,061 26,576
10,584 10,189 9,893 9,907 10,110 9,180 8,725 8,471 7,765 7,195 6,807
  刑法犯 19,611 19,668 19,650 20,405 20,265 19,472 18,628 18,017 16,621 16,250 16,348
6,794 6,838 6,709 6,790 7,090 6,461 6,043 5,988 5,367 5,123 4,719
特別刑法 12,900 11,386 11,267 10,419 10,285 9,847 10,986 10,399 10,545 9,811 10,228
3,790 3,351 3,184 3,117 3,020 2,719 2,682 2,483 2,398 2,072 2,088
注:上段は暴力団勢力、下段は内暴力団構成員の各検挙人員を示しています。 (2)主な資金獲得犯罪の検挙人員の推移 (人)
区分/年次 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21
暴力団勢力・暴力団検挙
人員総数
32,511 31,054 30,917 30,824 30,550 29,319 29,614 28,416 27,166 26,061 26,576
10,584 10,189 9,893 9,907 10,110 9,180 8,725 8,471 7,765 7,195 6,807
  覚せい剤 7,933 7,720 7,298 6,699 6,016 5,408 6,810 6,042 6,318 5,728 6,170
2,225 2,122 1,949 1,896 1,786 1,514 1,688 1,444 1,403 1,178 1,292
恐喝 2,889 3,290 3,070 2,954 3,092 2,808 2,619 2,523 2,175 2,014 1,801
1,367 1,488 1,398 1,325 1,462 1,358 1,232 1,197 1,005 1,005 799
賭博 1,575 1,164 1,238 1,374 780 837 845 685 648 642 790
188 131 118 117 72 90 97 66 107 107 134
ノミ行為等 1,256 736 494 371 240 322 193 161 133 130 181
206 143 107 101 65 92 71 41 50 50 52
合計 13,653 12,910 12,100 11,398 10,128 9,383 10,467 9,411 9,274 8,514 8,942
3,986 3,884 3,572 3,439 3,385 3,054 3,088 2,748 2,565 2,340 2,277
注:上段は暴力団勢力、下段は内暴力団構成員の各検挙人員を示しています。 (3)暴力団等による銃器発砲事件の発生状況の推移
区分/年次 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21
発生回数 133 92 178 112 104 85 51 36 42 32 22
対立抗争によるもの 42 16 71 21 32 19 11 0 12 2 1
死者 22 17 24 18 5 1 7 2 13 8 6
負傷者 20 24 20 20 15 12 6 8 7 5 8
平成21年中の、暴力団等による銃器発砲事件は22件で、対前年比10件の減少となっています。
又、最近の暴力団は、けん銃を単なる威嚇でなく、計画的に人を殺傷する目的で使用する事例が多くなってきているといわれており、暴力団等が隠匿保有するけん銃の摘発が、目下の最大の課題であるといえます。 (4)暴力団からのけん銃押収丁数の推移 (丁)
区分/年次 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21
押収けん銃総数 580 564 591 321 334 309 243 204 231 166 147
真正銃 491 525 563 296 308 276 216 187 223 158 129
改造銃 89 39 28 25 26 33 27 17 8 8 18
平成21年中のけん銃の押収状況は全体では407丁と対前年比85丁減と大幅に減少し、内真正けん銃は379丁(構成比93.1%)、改造けん銃は25丁でありました。
その内、暴力団から押収したけん銃は147丁で、これも対前年比19丁も減少していますが、こうした暴力団からの押収丁数の減少は、必ずしも隠匿されているけん銃の実数が減少している結果とは判断できないものがあることを銘記する必要があります。 なお、島根県内の平成21年中の暴力団勢力の検挙人員は36人となっています。

0 件のコメント:

コメントを投稿

フォロワー

ブログ アーカイブ