2011年12月25日日曜日

朝鮮総連に動揺…「正恩氏の在日母は誇り、3代世襲反対」

朝鮮総連に動揺…「正恩氏の在日母は誇り、3代世襲反対」

2011/12/24 15:36更新

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 北朝鮮が金正恩氏の母、故高英姫コ・ヨンヒ)氏の在日出自を「最高機密」とし、在日本朝鮮人総連合会朝鮮総連)との関係見直しに着手したとされる問題は、「後継者の母」の高氏をひそかに誇りとしてきた朝鮮総連に大きな動揺を与えそうだ。3代世襲に反発しながらようやく正恩氏支持を打ち出した矢先に、本国とのはしごを外された形となる。(桜井紀雄)
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記事本文の続き 金正日総書記の国葬に参列する朝鮮総連の弔問団の第1陣として南昇祐(ナム・スンウ)副議長ら4人が23日、東京から経由地北京に出発した。26日には各地方本部の代表ら約50人が平壌に向かうという。
朝鮮総連は制裁で訪朝後の再入国が禁じられている実質トップの許宗萬(ホ・ジョンマン)責任副議長の渡航を22日、日本政府に申請したが、不許可とされ、本国に対し難しい立場に置かれていた。今回の見直し方針が下れば、決定的な打撃となりかねない。
朝鮮総連内部にとって正恩氏の指導者就任には、複雑な思いがあるという。北朝鮮情報を扱うニュースサイト「デイリーNK」の高英起(コ・ヨンギ)東京支局長は「在日朝鮮人にとって高氏の存在は公では話さないが、誰もが在日出身と知っている。在日から“ファーストレディー”に上りつめ、自慢に思う人もいた」と話す。
 この高氏を母に持つ指導者誕生は、朝鮮総連には喜ばしいはずだが、日本社会で暮らす在日朝鮮人にとって封建社会同様の3代世襲には違和感があり、組織内からも強い反発があった。
このため、正恩氏が2010年に公式登場した後も朝鮮総連は沈黙を続け、今夏に「金正恩大将の領導に服従しよう」と支持を打ち出したところだった。
高氏については生前、北朝鮮内で「尊敬する母上」と神格化する文書が作成されたこともあった。しかし在日の出自は「触れられない事実」だった。
北朝鮮には、約9万人の在日朝鮮人が渡ったが、「資本主義に染まった危険分子」として要職に就けない「動揺階層」「敵対階層」に位置付けられた。北朝鮮への不満を口にし、政治犯収容所に送られた在日出身者も多い。新指導者の母がこの階層出身者である事実は、政権を揺るがしかねない“爆弾”といえた。
今回の内部情報を入手した「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク」(RENK)代表の李英和(リ・ヨンファ)関西大教授は「朝鮮総連は、高氏の子供である正恩氏の指導者就任はプラスに働くと期待したはずだが、見事に裏切られたことになる。内部の反発が表面化し、組織の弱体化も避けられないだろう」と話す。
ただ、対日工作の重要拠点であり、金政権を支えてきた朝鮮総連も金総書記が拉致を認めた02年以降の組織員の離脱と日本の制裁で弱体化の一途をたどっていた。許氏ら幹部に対する本国の帰国指示にも、制裁を理由に応じず、本国との関係も冷却化し、重要な情報は朝鮮総連には伝えられなくなったともされる。今回の方針は、組織の衰えに追い打ちをかけることになりそうだ。

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