【鷲見一雄の視点】
大林検事総長辞任は「資料改竄で引責」だけが理由なのかという疑問
●産経新聞配信記事
産経新聞は17日、「検事総長、年内に辞任 資料改竄で引責」という見出しで次の記事を配信した。
大林宏検事総長(63)が大阪地検特捜部の押収資料改竄(かいざん)・犯人隠避事件などの責任を取り、年内にも辞任する意向を固めたことが16日、検察関 係者への取材で分かった。65歳の定年まで任期は約1年半残っており、検事総長が任期半ばで引責辞任するのは極めて異例。
後任には笠間治雄・東京高検検事長(62)が有力視されている。
村木厚子・厚生労働省元局長の無罪が確定した郵便不正事件の捜査・公判を検証している最高検が、24日に検証結果を法相の私的諮問機関「検察の在り方検討会議」に報告するのに合わせ、大林氏は自らの辞任で体制を一新する必要があると判断したもようだ。
最高検では、来年3月定年の伊藤鉄男次長検事(62)も1月までに退官するとみられ、トップ2人が入れ替わる。
大林氏は今年6月から現職。9月に大阪地検特捜部の元主任検事が郵便不正事件の押収資料を改竄していたとして証拠隠滅罪で起訴され、その改竄を隠蔽(いん ぺい)したとして前特捜部長と元特捜部副部長が起訴された。いずれも懲戒免職になったほか、事件当時に大阪地検検事正だった福岡高検検事長や後任の検事正 ら幹部3人が懲戒処分を受け、辞任している。
大林氏は郵便不正事件の捜査時、東京高検検事長で決裁には関わっておらず、一連の事件の処分対象になっていなかった。このため法務・検察内部に辞任は不要との意見が多かった。
大林氏も10月、柳田稔法相(当時)から信頼回復に向け努力するよう異例の指示を受けて謝罪したが、引責辞任については否定的な考えを示していた。
●朝日新聞記事
朝日新聞は今年5月22日の朝刊39頁に《再捜査、すぐ結論 「証拠弱い」崩さず 虚偽記載事件、小沢氏不起訴 「分かった」で「共謀」無理筋だった》という見出しの記事を掲載した。その中には次の記述があった。
小沢氏を起訴できるか、できないか。特捜部が最も重要視したのは、虚偽記載の実行行為者とされる元秘書の衆院議員・石川被告の供述だった。
陸山会は2004年10月、小沢氏からの借入金で都内の土地を約3億5千万円で購入したが登記は05年1月にずらした。04年分の政治資金収支報告書に借 入金や土地代支出も計上せず、05年分の収支報告書に関連団体からの寄付を装った虚偽の収入と土地代支出を記載。陸山会の定期預金を担保に小沢氏個人が銀 行から4億円の融資を受け陸山会に転貸する操作が行われ、小沢氏が融資書類に署名した。
特捜部は主に(1)04年10月の土地購入時 (2)05年3月の収支報告書提出の前―― のやり取りをめぐって、石川議員と小沢氏の共謀を立証できるかを検討。(1)について、石川議員は「小沢先生に『仮登記のままで本登記は翌年でも良いの で、翌年にずらします』と報告し、『そうか、分かった』と言われた」と供述。土地原資は裏金ではなく「小沢先生の個人資産」としたうえで、資金操作を含め た動機を「04年分の収支報告書は05年秋に公開される。06年の民主党代表選を前に、先生が多額の資金を持っている印象を与えたくなかった」とした。
(2)については、石川議員は小沢氏に陸山会を含む関連5団体の収入、支出、繰越金を記した一覧表を提示して報告、了承を得たと供述。「虚偽の内容を含んでいるとは報告していない。半年前に登記をずらすことは説明していたので了承して頂いていると思った」と述べた。
検察当局は(1)について、石川議員は登記をずらす理由も説明しておらず、この報告を基に小沢氏が半年後の収支報告書の虚偽記載を認識していたと結びつけ るのは「3段階ぐらい飛躍した話」(幹部)と判断。(2)についても、小沢氏に虚偽記載を伝えた証拠とは言えないと評価した。
評価以前 に特捜部は「報告・了承」の場面について十分な調書を取れず、検察内部では「そうか」と返事したことを理由に小沢氏の「共謀」を問うのは困難との見方が支 配的だった。さらに「報告・了承と言っても、たくさんの調書の中で、こちらの見立てに沿う都合の良い部分をつぎはぎして辛うじて成立するレベル」との指摘 もあり、石川議員の供述は総合的に信用性が低い証拠と判断された。
小沢氏も特捜部の聴取に、(1)の報告については「記憶がない」、融 資書類への署名も「以前に不動産を購入した際も同じ手法を使ったから」と供述。(2)についても「5団体の収支の総計欄しかチェックしていない。団体ごと の収支、ましてや1団体の個別の内容についてはまったく知らない」と関与を否定した。
●鷲見一雄の視点
朝日新聞の記事の中には前述の記事のほか、次の記事があった。ここが私の視点のポイントである。
《検 察審査会の指摘を読んでも「再捜査で何をやればいいのか分からない」と戸惑う声が多かった。》というが、果たしてそうだろうか。記事の中には3億5000 万円もの土地購入に関し、所有権者となる小沢氏の意思はまるっきり出てこない。こんな不自然、不合理な土地購入を私は知らない。
さら に、石川議員は「小沢先生に『仮登記のままで本登記は翌年でも良いので、翌年にずらします』と報告し、『そうか、分かった』と言われた」と供述。土地原資 は裏金ではなく「小沢先生の個人資産」としたうえで、資金操作を含めた動機を「04年分の収支報告書は05年秋に公開される。06年の民主党代表選を前 に、先生が多額の資金を持っている印象を与えたくなかった」とした。
(2)については、石川議員は小沢氏に陸山会を含む関連5団体の収入、支出、繰越金を記した一覧表を提示して報告、了承を得たと供述。「虚偽の内容を含んでいるとは報告していない。半年前に登記をずらすことは説明していたので了承して頂いていると思った」と述べた。
検察当局は(1)について、石川議員は登記をずらす理由も説明しておらず、この報告を基に小沢氏が半年後の収支報告書の虚偽記載を認識していたと結びつけ るのは「3段階ぐらい飛躍した話」(幹部)と判断。(2)についても、小沢氏に虚偽記載を伝えた証拠とは言えないと評価した。(以上、朝日新聞)
●私の不信
① 石川議員は「小沢先生に『仮登記のままで本登記は翌年でも良いので、翌年にずらします』と報告し、『そうか、分かった』と言われた」と供述。土地原資は裏 金ではなく「小沢先生の個人資産」としたうえで、資金操作を含めた動機を「04年分の収支報告書は05年秋に公開される。06年の民主党代表選を前に、先 生が多額の資金を持っている印象を与えたくなかった」とした。
②(2)については、石川議員は小沢氏に陸山会を含む関連5団体の収入、支出、繰越金を記した一覧表を提示して報告、了承を得たと供述。「虚偽の内容を含んでいるとは報告していない。半年前に登記をずらすことは説明していたので了承して頂いていると思った」と述べた。
とされる。
全て石川氏の意思であり、小沢氏の意思はない。それなら仮登記申請の要する司法書士に対する委任状、本登記に対する委任状は誰が書いたのか、土地の売り主 との間で不動産引き渡し完了確認書(04年10月29日完了)は誰と誰が署名押印したのか。05年度の固定資産税を陸山会で負担するとの合意書を取り交わ してまで登記を翌年にずらしたのは誰なのか。
『仮登記のままで本登記は翌年でも良いので、翌年にずらします』と報告し、『そうか、分かった』と言われた」と供述。「虚偽の内容を含んでいるとは報告していない。半年前に登記をずらすことは説明していたので了承して頂いていると思った」と述べた。
この2つを検察が認めるなら《検察審査会の指摘を読んでも「再捜査で何をやればいいのか分からない」》などとうそぶいているのではなく、石川、小沢氏から 「小沢氏から実印まで預ける立場にしてもらっていた、石川は実印まで預ける立場だった」という石川、小沢氏の供述を録取するよう指示すべきだったと私は思 う。往年の河井信太郎、吉永祐介氏ならやらせていたと私は思う。ここが「現場の叩き上げ組」と「赤レンガ組」の思考の違いである。
明らかに「再 捜査、すぐに結論」は捜査不備だ。大林氏は5月22日当時、東京地検に指揮監督権を持つ東京高検検事長だった。検察にとって「指定弁護士」が強制起訴す る。検察は職務を十分果たしていないと言うことではないか。素人の判断などととぼけているのは傲慢、検察審査会制度の否定であり、あるべき姿ではない。検 事総長辞任は資料改竄で引責だけではないと捉えるのは私一人だろうか。
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