2010年12月12日日曜日

警察が壊滅目指す“情報ヤクザ”弘道会 

 指定暴力団山口組弘 道会への警察の摘発が本格化している。昨年9月、警察庁は弘道会を「社会に対する重大な脅威」と位置づけ、徹底した取り締まりの強化を全国に指示した。強 い姿勢の背景には、警察の内部情報をも探知する情報収集力や徹底した「反警察志向」といった、ほかのどの暴力団とも異なる弘道会の危険な性質がある。

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記事本文の続き 弘道会は名古屋市に本部を置く山口組の直系組織。日本最大の暴力団である山口組の6代目トップで、現在収監中の篠田建市受刑者=通称・司忍=の出身母体で、山口組全体の運営方針を決定する牽引(けんいん)組織とされる。
警察の担当幹部によると、弘道会の最大の特徴は「情報収集力」と「反警察志向」の強さだという。
警察幹部は「組織内に情報収集を専門とする部隊がある。従来にない、異質な暴力団だ」と指摘する。弘道会はこの情報力を駆使し、公共事業の入札情報や企業のスキャンダルといったシノギ(収益活動)のきっかけになる情報をかき集める。
「地盤である中京地方の風俗店や飲食店で、客の企業幹部や地元有力者らの女、カネにからむ不祥事の情報をつかんでいるともいわれていた」(元捜査官)
情報収集力はシノギだけでなく、警察の組織や内部情報の探知にも及んでいる。捜査員が家宅捜索に入ると、その捜査員の家族の写真が張ってあったり、捜査員の自宅の地図や担当課員の住所録などが見つかったこともあるという。
 弘道会のもう一つの特徴は、強力な反警察志向だ。
家宅捜索の際、すぐにドアを開けずに徹底して抵抗、逮捕されれば取り調べに完全黙秘を貫く-。捜査員を尾行しているとみられるといい、こうした組織体質を「まるで過激派だ」と指摘する警察幹部もいる。
昨年7月の大相撲の名古屋場所では、現役の親方2人が手配した特別席で、弘道会幹部らが取り組みを観戦していたとして問題になった。警察当局は、収監されている篠田受刑者に幹部らが自分の姿を見せ、忠誠心を示すのが目的の一つだったとみている。
警察当局には「弘道会の勢力増長を放置すれば、手に負えなくなる恐れがある」との危機感がある。取り締まり強化の方針が示された昨年10月から今年6月末までに、警察は前年同期の3倍に当たる計33人の弘道会組長・幹部を検挙した。
警察庁の安藤隆春長官は今年5月、「弘道会の弱体化なくして山口組の弱体化はなく、山口組の弱体化なくして暴力団全体の弱体化はない」と明言。警察は今後も弘道会の壊滅を目指し、取り締まりを続ける方針だ。

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